夏だ、草花を探そう(^ ^;;

食事中に海に行こうと言うことになり、エスティアを除く全員は海に遊びに出かけた。
そして海に行かなかったエスティアは、手荷物入れの中から薬草採集セットを取りだして玄関に行く。
エスティアは以前ルゼから聞いた薬草のことを調べたくて、海には行かなかったのである。
エスティア「それでは薬草探しをするので、玄関に鍵をしていきましょう。
      でも、本当に玄関の鍵だけで家中の鍵が閉まるのでしょうか?」

少し疑問を持ちつつも、エスティアは玄関の鍵を閉めた。すると家の周りから、鍵の掛かる音が聞こえてきた。
その音を聞いた途端、エスティアは驚きの表情に変わった。確かに初めてでは驚くだろう。
エスティア「ほ・・・・・本当に、玄関で全ての鍵が掛かるのですね(^ ^;;驚きました・・・・・。
      でも全ての鍵が、まとめて掛けられるのは便利ですね(^ ^)では、薬草を探しましょう。」

集中ロックシステムに感動しつつ、エスティアは鍵を薬入れの中にしまうと、庭に向かった。
そして家の裏手にある庭に着いたのだが、庭と言っても柵などはなく、そのまま森へと続いている。
そのためエスティアは、まず家の近くの草花を調べることにした。
持ってきた薬草採集セットの中には、<世界の珍しい草花>と書かれた本があり
見たことのない草花を見つけると、その本を開いて草花の種類を調べる・・・・・と言うことを繰り返す。
そして数十分後、1種類目の珍しい花を見つけたエスティアは、大きな声で喜んだ。
エスティア「このサヴィンミオのお花は、寒暖がハッキリしていないと咲かない物ですね。
      効能は心の癒し・・・・・。この他に数種類の薬草を見つけることが出来れば
      回復薬が作れるかもしれませんね・・・・・。頑張って探してみましょう。」

エスティアはそういう言ったあと、目の前に咲いている花を3つ位摘み取って、薬入れの中から
中位の大きさのビンを取りだすと蓋を開けて花を入れ、フタを閉じたあと薬入れの中にしまった。
エスティア「では、次の草花を探しに行きましょう。この庭を調べ終わりましたら、森の中へ・・・・・。」
薬入れのフタを閉じたあと、エスティアは再びしゃがんで、草花を調べ始めた。
エスティアが次に調べだしたのは、普段洗濯物を干す木と木の間である。
ここは日当たりもいいので、草が育つにはいい場所である。だが普段ルゼが手入れをしているのだろう。
木と木の間の中心部には、そんなに草は生えていない。そのためエスティアは、木の近くを調べ始めたのだ。
エスティア「木の周りには、色々な草が生えていますね(^ ^)・・・・・あっ、これは回復薬を作るときの
      重要な材料となります、サヴェンラの草ですね(^ ^)これも採取しましょう。」

珍しい草を見つけ笑顔になって空きビンの中に、サヴェンラの草を大量に入れるエスティア。
今回は回復系の薬を調合するための材料を探しているようだ。これで2種類の材料を手に入れたことになる。
エスティア「では今度は、井戸の周りを調べてみましょう・・・・・。何かあると、いいのですが・・・・・。」
今調べていた場所から井戸までは10m位の距離であり、エスティアはゆっくりと移動する。
そして井戸の周りをじっくりと調べ始めると、すぐさま奇妙な形の草を見つけたのである。
エスティア「この庭には、珍しい草花が身近にあるのですね(^ ^)今回のも水質が非常によくないと
      ここまで育つことは出来ない、ワッサミョフールの草です(^ ^)
      これは遠くに物を飛ばせる、爆発系の薬の強化に使えますね(^ ^)」

細長い、5角柱のような見た目のワッサミョフールの草をエスティアは全体の半分を摘み
中心部分を薬入れから出した紐で縛ると、そのままの状態で薬入れにしまったのである。
エスティア「これだけあれば十分ですね。あまり摘みすぎますと、今後採取できなくなってしまいます。
      では、次の場所を探しましょう。・・・・・次は、何処を探しましょうか?」

その後草花探しも順調にいき、約1時間半が過ぎた頃には2種類の花と、3種類の草を見つけた。
そして庭全体を調べたエスティアは、いよいよ森の中に進もうと、聖増制複の錫杖を手に持った。
エスティア「これでお家のお庭周辺は、調べ終わりました(^ ^)次は、森の中を調べてみましょう。
      魔物等はいないと思いますが、念のために錫杖を持ちまして・・・・・準備完了です(^ ^)」

右手に聖増制複の錫杖、左手に薬草採集セットを持ち、森の中へと入っていく・・・・・。
自分の勘を頼りに、森の中を進んでいくエスティア。周りには今まで見たことのない、草花や木々が生えている。
そのため数歩進んでは立ち止まり、草花を調べると言うことを繰り返すエスティア。
そして珍しい物に関しては、ビンに入れたあと薬入れの中にしまっていた。
エスティア「これはクォイニテンザのお花ですね(^ ^)あちらの世界では非常に珍しいお花ですが
      こちらの世界では、一般的なお花なのでしょうか?とにかく摘んでいきましょう。」

薬草の材料としても使えるらしく、エスティアは微笑んでクォイニテンザの花を摘んでビンの中に入れた。
そしてさらに森の奥に進みつつ薬草や花、木々を採集し続けたのである。
しかし、そろそろ薬入れの中がいっぱいになってきたようで、エスティアは座れそうな場所を探すと
いったん薬入れの中身を全て取りだし、すぐ使う物と使わない物とを分けだしたのである。
エスティア「見つけた薬草等は奥の方に入れ、いざというときに使う攻撃薬は手前に入れましょう。
      そうしておけば魔物に遭遇したとき、すぐに攻撃薬が取り出せます。」

エスティアは手際よく薬ビンをを薬入れに入れ替え、薬入れの蓋を閉めたあと立ち上がった。
結局採取した薬草類は、7種類の花、11種類の草、3種類の木である。
エスティア「薬草も十分手に入りましたので、そろそろ帰りましょう。」
そう言ったあとエスティアは、来た道を戻り始めた。しかし進むにつれエスティアの表情は徐々に暗くなる。
最初の内は軽快な足取りで来た道を戻っていたのだが、やがて何かを確認するように歩く速さがゆっくりになる。
エスティア「あ、あらっ?確かこの辺りに目印の看板があったと思うのですが・・・・・。
      ありませんね(^ ^;;途中で道を誤ってしまったのでしょうか?」

いつの間にか違う道を進んでいたのか、エスティアは森の中で迷ってしまったようだ。
故郷は森に囲まれた村なのだから、森で迷うことはないだろうと思っていたのかもしれない。
しかしそれは長い年月をその場所で過ごしてきたという、長年の経験であり
今回のような初めての場所では、迷ったとしても不思議なことではない。それほどこの森は深いのだ。
エスティア「・・・・・どうやら迷ってしまったようですね(^ ^;;あら?何か物音が・・・・・(^ ^;;
      だれか・・・・・誰かいるのですか?(もしかしたら魔物・・・・・?)」

迷ったことを実感したエスティアだが、少し先の方で草むらの中を何かが通るような音が聞こえたので
薬入れに手を伸ばし、中から爆発系の中でいちばん弱い攻撃薬を静かに取りだしたのである。
エスティア「私の言葉が分かるのでしたら、出てきてください。そうでなければ、攻撃します。」
エスティアは魔物かどうかを確認するため、音がする方向に向かって声を掛けてみた。
しかし返事は何もなく、ガサゴソと移動する音が聞こえるだけであった。
そのためエスティアは、音がする方向に向かって手に持っていた攻撃薬を投げた。
するとしばらくして爆発が起き、そのあと女性の悲鳴ともとれる声が聞こえてきたのである。
女性の声「なっ・・・・・。きゃあ〜(^ ^;;」
エスティア「あ、あら(^ ^;;人の・・・・・それも女性の方の声が聞こえてきましたね(^ ^;;」
返事がないため魔物かと思ったエスティアは、女性の悲鳴が聞こえたので驚いた。
そしてその悲鳴の聞こえてきた方向へ、慌てて向かったのである。するとそこには、よく知った人がいた。
     ?「いきなり爆発したから、油断しちゃったなぁ(^ ^;;でも、一体誰が・・・・・。」
エスティア「シ、シエル・・・・・?どうしてここにいるのかは分かりませんが、申し訳ありません(^ ^;;」
そこにはもう1人のシエル、シエル=ダイヤモンドが爆風でついたほこりを払っていた。
そしてエスティアの声に気付いたシエル(D)は、エスティアに話しかけたのである。
シエル(D)「あれ?エスティアじゃない・・・・・。なるほど、さっきの爆発は攻撃薬だった訳ね(^ ^;;
      私がここにいるのは・・・・・。そう言えばエスティア、ティレスさん見かけなかった?」

エスティア「ティレスさんですか・・・・・?」
シエル(D)「そう、ティレスさん。2人で遊びに行こうと森を通ってきたんだけど
      それが失敗だったみたいね(^ ^;;途中ではぐれちゃったの。」

シエル(D)の話によると、一緒に来ていたティレスが途中で行方不明になってしまったようだ。
エスティア「それでは、早く探さなければ(^ ^;;私も探すのに同行しますので、一緒に探しましょう。」
シエル(D)「そうしてもらえると助かるな♪それじゃあ、少しずつ戻りましょうか。」
ティレスが行方不明だと聞いたエスティアは慌てた表情になって、探しに行こうとシエルに話しかける。
するとその言葉を待っていたかのように、シエル(D)はエスティアに助かると言ったのである。
シエル(D)「普段なら気配とかで読めるんだけど、この森の中だと何だかダメなのよね(^ ^;;」
エスティア「そうですね、私も方向感覚が少し狂っていますので(^ ^;;でも、戻るよりは
      こちらに進んだ方が、ティレスさんがいるような気がします。」

シエル(D)も、この森の中では感覚が狂うらしい。どうやら不思議な力が発生している場所なのだろう。
しかしそれでも気配を感じることの出来るエスティアを見て、シエルは不思議な気分になった。
シエル(D)「どうやらこの森は、不思議な森なのね(^ ^;;でも、ティレスさんのいる場所が分かるなんて
      さすがは森の民ってところなのかな?(まあ、それ以外にも理由はあるけどね。)」

エスティア「いるような気がすると言うだけですよ(^ ^;;現に先ほどもシエルの気配を
      完全には読めませんでしたので・・・・・(^ ^;;なので・・・・・。」

シエル(D)「まあ、チョットでも分かれば十分よ(^ ^)それじゃあ、そっちの方に探しに行きますか。」
こうして2人は、気配の感じる方に向かって歩き始めた。そしてしばらくすると
最初に感じた気配とは別の気配を感じたようで、エスティアはシエル(D)に小声で話しかけた。
エスティア「シエル・・・・・。あの先に何かの気配が感じられます。でも、ティレスさんでは無さそうです。
シエル(D)「もしかしたら、魔物かもしれないよ。エスティアに出会う前まで、2度ほど魔物を倒したから。
エスティア「魔物がいるのですか・・・・・。
シエル(D)「魔物だったらサッサと倒しましょ。そんな訳で草むらに突っ込むわね。
森の中で2度ほど魔物に遭遇したシエル(D)は、魔物かもしれないとエスティアに話したあと
いきなりその気配がする方向、草むらに向かって突っ走っていったのである。
エスティア「あ、シエル〜(^ ^;;仕方ありませんね、私もあとに続きましょう。」
シエル(D)のあとに続くように、エスティアも草むらの中に入っていく。そして草むらを抜けると
すでにシエル(D)が戦闘態勢に入っていて、その先には何やら奇妙な魔物が2匹いたのである。
シエル(D)「この位の魔物なら、サッサと倒しちゃおう(^ ^)行くわよ、メイルジームフレイヤ〜。」
シエルが魔法を唱えると、手のひらから蒼白い炎の玉が現れ、魔物に向かって放つ。
しかし魔物の内の1匹は素早く炎の玉を避けた。しかし残りの1匹は避けることが出来ず
蒼白い炎の玉の直撃を喰らって勢いよく燃えだした。そしてアッという間に燃え尽きてしまったのである。
それを見たシエル(D)は、魔物を倒したことを確認するとほほえみの表情になった。
シエル(D)「よしっ、まずは1匹倒したわね(^ ^)」
エスティア「シエル、もう1匹が頭上にいるわよ〜(^ ^;;頭を伏せててくださいね。
      風よ、あの魔物を吹き飛ばしたまえ・・・・・極風真強波。」

しかしもう1匹の魔物がシエル(D)の頭上から、攻めてきていることに気付いたエスティアは
シエル(D)にそのことを伝えた直後に、錫杖を握りしめて風の法力を唱えた。
すると落ちてきている魔物めがけて、錫杖から発生した風の渦が向かっていく。
シエル(D)「あら、風の法力ね・・・・・。そうなればこれで行きましょうか。
      鋭い氷の粒をぶつければ・・・・・ヴィ・クレッシュアイス。」

一方シエル(D)もエスティアの言葉に気付き、上を振り向いて状況を見たあと、魔法を唱え始めたのである。
風の渦にシエル(D)の放った氷の固まりが入り、その中で意図的に氷を崩し攻撃力を上げた。
しかしその風の渦が当たるかどうかの瞬間、魔物は姿を消し、風の渦は空に向かって消えていった。
エスティア「何だか無反応ですが・・・・・。魔物はどうしたのでしょうか?(^ ^;;」
シエル(D)「く、空間移動・・・・・!?どうやら敵の種類を見誤ったようね(^ ^;;
      気をつけてねエスティア。どこから出てくるか予想がつかないから(^ ^;;」

エスティア「それは一体どういうことなのでしょうか?シエル・・・・・。」
法力が魔物に当たったはずなのだが、何も反応が無く法力が空に消えたので、エスティアは不思議に思った。
しかしシエル(D)は魔物が空間移動をしたことに気付き、エスティアにそのこと伝え、自らは警戒態勢をとる。
だがエスティアは、いまいち意味が分かっていないようで、頭を抱えてしまったのである。
シエル(D)「つまりはこういう事よ、私にはその手は効かないわよ。それっ。」
エスティア「シエル・・・・・何もない場所に斬りかかっても・・・・・。あ、あら?」
シエル(D)が何もない場所に斬りかかったのを見て、エスティアは不思議に思ったが
次の瞬間シエル(D)の剣先から魔物が現れたのを見て、エスティアは何となくだが理解した。
シエル(D)「あれぇ〜?(^ ^;;倒せたと思ったんだけど当たる前にまた空間移動かぁ・・・・・。」
エスティア「どうすればいいのでしょう?シエル・・・・・。」
シエル(D)「しょうがないわね、アレを使いますか。ここからは、私でしかできない事よ。」
斬ったと思っても再び姿を消されたため、シエルは戦法を変えることにした。
そして今回初めて剣を抜くと、何故か利き手と逆の方に持ち替えて、何やらつぶやき始めた。
エスティア「シエル、剣を持つ手が逆では・・・・・?」
シエル(D)「・・・・・・・・・・・これでいいのよ、よしっ準備完了(^ ^)さあ、行くわよぉ〜。」
利き手と逆の方に剣を持ったシエル(D)を見て、エスティアは持ち方が逆だとシエル(D)に話す。
しかしシエル(D)はこのままでいいと話し、剣を振りかぶって何もないところに攻撃を仕掛けた。
シエル(D)「今度は逃げられないわよっ!!空間の先の敵を切り裂くこの魔法剣で、トドメよ。
      時空剣、ヴィジュアンズクラッシャ〜。さあ、どうだ〜。」

剣を振り下ろす途中から剣が光り始め、とある場所でその光が強くなり、それと同時に何かの声が聞こえてきた。
そして光がおさまると同時に魔物の姿が見え、シエル(D)の剣が、真っ二つに斬ったのである。
シエル(D)「よぉ〜し(^ ^)なんとか魔物を倒せたわよ、エスティア(^ ^)」
エスティア「す、凄い魔法剣ですね(^ ^;;剣自身は普通の剣のようなのですが・・・・・。」
シエル(D)「剣は魔法に耐えられる素材で作られてるけど、あの子の持ってる宝剣の様な力は無いよ。
      まだまだ私の方が全体的に上って事よ、エスティア。」

魔物を倒したことに、シエル(D)は多少疲れた顔をしながらだが、微笑んでエスティアに話しかける。
するとエスティアは魔法剣の凄さに驚き、剣にも何かあるのかと不思議に思っていると
そのことに対してシエル(D)が説明をすると、エスティアは納得したようで笑顔になった。
エスティア「なるほど、そう言うことなのですね(^ ^)」
 ティレス「・・・・・?エスティアちゃん、何がそう言うことなのかしら?」
シエル(D)「だから力の差だって・・・・・うわっ(^ ^;;ティレスさん、何時からそこに?(^ ^;;」
 ティレス「風の渦を見てもしかしたらって思って来たら、今度は光が・・・・・。
      そしてついさっきここに着いたら、シエルさんが魔物を倒したところでした。」

エスティアとシエル(D)が話しをしているところに、いつの間にかにティレスがまざっていたのである。
そのためシエル(D)はビックリしたが、ティレスは普通に今までのことを2人に説明した。
するとシエル(D)は何だか難しい顔をしたが、そのあと笑顔になっていった。
シエル(D)「まあ、無事に見つかったわけだから良しとしますか(^ ^;;」
 ティレス「ところで何故エスティアちゃんも、いるのでしょう?」
エスティア「私は薬草探しのために、この森に入って探していたのですが、迷ってしまいまして(^ ^;;」
 ティレス「森の出口はあちら側ですよ(^ ^)先ほど看板があるのを見つけましたので。」
ティレスは何故ここにエスティアがいるのか疑問に思い、そのことを話すとエスティアが説明をする。
するとティレスは戻る道の方向が書かれた看板を見つけたと、エスティアに伝えたのである。
シエル(D)「それじゃあ、その看板の所に行って森を抜けよ〜。」
エスティア「そうですね。早く家に戻りませんと、皆さん海から帰ってきてしまいます(^ ^;;」
 ティレス「では、こちらに進みますので、あとを着いてきてくださいね(^ ^)」
そう言ってティレスは森の中を進み始めた。そしてエスティアとシエル(D)も、あとに続いた・・・・・。
このあと看板を見つけ、3人は無事に森を抜けて家に着くことが出来たのである。



いよいよ盆休みも終わりですが、暑い日はまだまだ続きそうです。
体調に気をつけて、頑張っていきましょう。

1999年08月16日完成(^ ^;;