シエルちゃんの部屋

冒険日記番外編「夏は暑くて当たり前?



シエル・エスティア・夏風・リゼ・ティレスの5人は、買い物をしに家から2つ山を越えて町に向かっていた。
  シエル「今目指してる町には、どんな物があるのかな?私は初めて行く場所だけど。」
   夏風「あたいも初めて行く道だねぇ。それから誰が主で行動してるかも分からん。」
   リゼ「ウチはいつでもお姉にゃんといっしょにゃ〜(^ ^)」
 ティレス「私はエスティアちゃんが出かけると言ってましたので、同行していますよ(^ ^)」
ティレスの話を聞いた夏風は、行動主がエスティアだと言うことに気付き、エスティアに話しかける。
   夏風「今から行く町に、何を買いに行くんだい?エスティア殿。珍しい物でもあるのかな?」
エスティア「なかなか手に入らない、ビショッポーと言う甘味料があると聞きましたので
      それを買いに町に向かっています。おいしいお菓子が作れるそうですよ(^ ^)」

  シエル「すぐに見つかるといいよね(^ ^)そして美味しい物が出来るとイイナァ・・・・・。」
シエルが同行しているのはエスティアの護衛という意味もあるが、主目的は食べ物のことである。
そのためそれなりにキツイ道も、笑顔で歩いている。頭の中は食べ物のことでいっぱいなのだろう。
   夏風「なるほどね、だからシエル殿はずっと笑顔なんだね。」
   リゼ「にゃにゃ、おいしいおかしが出来るにゃ?」
エスティア「はい、おいしいお菓子が出来ると思いますよ(^ ^)お菓子の本で完成イラストを
      見たときにはおいしそうなお菓子だと、私も思いましたので。」

  シエル「楽しみ楽しみ〜(^ ^)・・・・・あっ、町らしき場所が見えてきたよ、あれじゃない?」
みんなで話をしながら歩いていると、ずっと先の方に町があるのをシエルが最初に見つけた。
そしてシエルの声であとの4人も先の方を見ると、確かに町があるのを確認したのである。
   夏風「あの町が、目指している町なのかい?エスティア殿。」
エスティア「そ、それが・・・・・私も町の名前と、大体の場所を聞いてきただけですので
      あの町が目的の町なのかが、よく分からないのです(^ ^;;ごめんなさい。」

  シエル「行ってみれば分かるでしょ、さあ急ごう。」
エスティア「あっ、待ってくださいシエルさ〜ん(^ ^;;」
目的の町なのかどうかがよく分からない5人だったか、行ってみれば分かると言ったあとシエルが走り出した。
そのためエスティアは、慌ててシエルの後に続く。そして残った3人も後を追うように早足で進む。
だがリゼもいきなり走り出したので、夏風は驚いた。しかしすぐに夏風も走り出して2人の後を追う。
   リゼ「うにゃにゃ〜ん、ウチも負けにゃいにゃ〜。」
  シエル「うわっ、もうここまで来ちゃったの〜?さすがに走るのは速いわね。」
   夏風「何もそんなに急がなくてもいいんじゃないか〜?でもあたいも負けないよっ。」
   リゼ「みんにゃできょうそうにゃ〜(^ ^)行くにゃ行くにゃ〜。」
いつのまにか町までの競走となってしまったが、夏風がシエルとの距離を縮めたものの
リゼがさらに走る速さを上げたので、2人との距離はどんどんひらいていく。そして最初に町の前に着いた。
   リゼ「ウチが一番にゃ〜(^ ^)あっ、お姉にゃんたちがきたにゃ。うにゃにゃ、遅いにゃ。」
   夏風「こ、今回も勝てなかった〜(^ ^;;相変わらず走るのは、リゼに勝てないよ。」
  シエル「ふ、2人とも走るの速いよ〜(^ ^;;私はまだ大丈夫だけど、後の2人が・・・・・。」
   夏風「後の2人・・・・・あっ、そう言えば(^ ^;;」
走ることに夢中になり、夏風は一瞬だがエスティアとティレスのことを忘れていたようである。
そしてしばらく間をおいて、まずエスティアが3人のところに着いたのだが、息が荒くなっている。
エスティア「み、皆さん・・・・速いです〜(^ ^;;そんなに・・・急がなくても・・大丈夫ですよ〜(^ ^;;」
  シエル「ご、ごめんごめん(^ ^;;でも早くおいしいお菓子が食べたくって・・・・・。」
   夏風「その走りにリゼがつられちゃったようで・・・・・エスティア殿、申し訳ない。」
リゼが走り出したので、さらに走りが速くなったと思った夏風が、エスティアに向かって頭を下げて詫びる。
するとエスティアは慌てて夏風の横に行き、頭を上げさせようとしたのである。
エスティア「あ、頭を上げてください夏風さん(^ ^;;走るのが遅い私の方が悪いのですから。」
   夏風「そんなことはない、やっぱりあたいらの方が悪いって・・・・・。」
エスティア「で、ですから・・・・・。」
  シエル「根本的な原因は、私にあるんだよね(^ ^;;ゴメンね、エスティア。」
エスティア「シ、シエルさんまで・・・・・(^ ^;;お願いですから2人とも頭を上げてくださ〜い。」
夏風に続いてシエルまで頭を下げて謝りだしたので、エスティアは困ってしまった。
そしてどうしたらいいのか分からずオロオロとしていたとき、普通に歩いてきたティレスがその間に入った。
 ティレス「あらあら、どうしたんですか皆さん。エスティアちゃんが困ってますよ。」
エスティア「あっ、ティレスさ〜ん。この状況をいったいどうしたらいいのでしょう?(^ ^;;」
 ティレス「ほらほら2人とも。過剰の謝罪は、かえって相手に迷惑をかけるのよ。」
エスティアがティレスに知恵を借りようと話しかけると、ティレスはシエルと夏風に向かって話した。
すると夏風が先に頭を上げ、続いてシエルも頭を上げた。そのためエスティアはホッと一息つく。
エスティア「よかったです・・・・・。」
   夏風「本当に申し訳なかったね、エスティア殿。ではティレス殿も来たことだし
      町の中に入って目的の物を探そうじゃないか。」

  シエル「ゴメンね、エスティア。ビショッポー探し頑張るから、それで許して〜。」
エスティア「はい(^ ^)それでは町に入って、ビショッポーを扱っているお店を探しましょう。」
問題も無事解決し、5人は町の中に入っていく。そして大通りを歩いていくと、少し先に人が集まっていた。
そのためそれが気になったシエルは、エスティアに見に行ってもいいかを聞くことにした。
  シエル「ねえねえエスティア、あの人だかりの中心で何をやってるか気になるんだけど
      ちょっと見に行って何をしているか、確認してきてもいいかな?」

エスティア「何をしているのか、私も気になってました。私も一緒に行きますね。」
   夏風「それならばみんなで一緒に行こう。そうすれば、はぐれる心配もないしね。」
 ティレス「何かイベントが開催されるみたいですよ。」
人だかりが出来ていれば、気になるのは当たり前。そのためみんなで見に行こうと言うことになったが
周りを歩く人の会話を聞いていたのか、ティレスがイベントがあるらしいと他のみんなに話す。
  シエル「イベント?何のイベントが開催されるんだろ?早く行って確認しなきゃ。」
エスティア「あっ、待ってくださいシエルさ〜ん。」
またまたシエルは先走りしようとしたので、エスティアはシエルの手をつかんで止めようとしたのだが
シエルはかまわず進んでしまい、エスティアはシエルに引っぱられる感じになってしまった。
   夏風「シエル殿はエスティア殿のことに気付いてないのかねぇ(^ ^;;あれじゃ危ないね。」
 ティレス「シエルさんがそんなに速く歩いている訳ではないので、大丈夫だと思いますよ。」
   リゼ「にゃにゃ?ウチらも行くにゃ〜。」
   夏風「そうだね、じゃあ行こうリゼ。ティレスさんも早く行きましょう。」
結局シエルは人だかりの中央で、何をしているか見える位置までエスティアのことを引っぱっていった。
そしてシエルは背伸びをして、中で何をしているのか確認しようとしたが、前の人の背が高くて
背伸びをしても中の様子が見えなかった。だが、いきなり体が中に浮くような感じになったため後ろを見た。
するとエスティアが、シエルのことを持ち上げていたのである。しかしその表情をみて、シエルは疑問を感じた。
  シエル「エ、エスティア!?今は鎧を身につけているから重いよ(^ ^;;大丈夫なの?」
エスティア「大丈夫ですよ、シエルさん。風の法力を使って負担を軽減させてますので。
      今から肩車をしますので、しっかり捕まって中の様子を見てくださいね。」

  シエル「うん、分かった(^ ^)どれどれ・・・・・ん?あの部屋のようなのは、いったい何だろ?」
エスティアに肩車をしてもらったシエルは、高い位置から中の様子を見ることができた。
人だかりの中には部屋のような物があり、手前に張り紙がしてある。そのためシエルは、何が書いてあるか見る。
  シエル「なになに・・・・・真夏の暑さ我慢大会?優勝者には・・・・・町の商品券1G分?
      エスティア、大体分かったからもう降ろしてくれるかな。」

エスティア「はい、シエルさん(^ ^)それでは今から降ろし・・・・・(^ ^;;その場所がないですね。」
シエルを降ろそうとしたものの、そのための場所がないためエスティアは、そのまま輪の外に向かって歩き出す。
そのためシエルはちょっとバランスを崩したが、エスティアの頭に捕まってバランスを立て直した。
そして降ろせる場所まで移動したエスティアは、風の法力を使いながらシエルのことを降ろした。
  シエル「ありがと、エスティア(^ ^)どうやらあの人だかりは、イベントを見る人たちみたい。
      でも賞品が商品券だから、大会にでていいかな?そすれば楽に買い物出来るよ。」

エスティア「どの様な大会なのですか?シエルさん。内容次第では私もでてみたいです。」
   夏風「何処まで暑さに耐えられるかの大会だよ。そしてこの券が参加券だよ。
     5人分貰ってきたから、でるならこの券を持って受付に行くよ。締め切り間近らしい。」

シエルとエスティアが人だかりの中を見ている間に、夏風は何をやるのか調べてその参加券を貰ってきたようだ。
  シエル「さすがに調べるのが早いわね、夏風。私は参加するけどエスティアはどうする?」
エスティア「暑さの我慢ですか・・・・・(^ ^;;私は止めておきます。」
 ティレス「エスティアちゃんがでないなら、私も見る方にまわります。頑張ってくださいね。」
   夏風「じゃあシエル殿と、あたいの2人で参加するって事で・・・・・。ん?どうしたリゼ。」
それぞれの意見を聞いて、シエルと夏風が真夏の暑さ我慢大会に出る事になったが
服が引っぱられてるのに気付いた夏風が、振り向いてリゼに話しかけた。するとリゼは真剣な表情で話し出す。
   リゼ「お姉にゃんが出るなら、ウチも出てみたいにゃ〜。」
  シエル「だ、大丈夫なの?リゼちゃん・・・・・。暑さに耐える我慢大会なんだよ(^ ^;;」
   夏風「ふむ・・・・・ならば一緒に出ようか、リゼ。じゃあ行こう、シエル殿。」
  シエル「ちょ・・・・・反対はしないの?夏風(^ ^;;リゼちゃんはまだ小さいんだよ。」
リゼの話を聞いたシエルは大丈夫なのか心配になったが、夏風は表情を変えずに一緒に出ようと言う。
そのため心配になったシエルが、夏風に向かって大丈夫なのかと問いただした。
   夏風「なに、これも修行の内さ。それに出たいというリゼの気持ちも考えての事だよ。」
  シエル「夏風がそう言うんならいいけどね・・・・・。無理しちゃダメだよ、リゼちゃん。」
   リゼ「ハイにゃ、ウチもがんばるにゃ〜(^ ^)」
   夏風「それじゃあ受付に行こう、早くしないと締め切ってしまいそうだからね。」
  シエル「そう言うことだから、適当なところで見ててね。エスティアとティレスさん。」
問題も無事(?)解決し、シエル・夏風・リゼの3人は、エスティアとティレスに行ってくると言い
少し急いで大会受付の場所に向かった。そして夏風が受付の前に立って参加券を3枚出す。
   夏風「結局3人になったけど、まだ受けつけてるよね。」
  受付嬢「ギリギリセーフです(^ ^)あと数分遅かったら締め切っていましたよ。
      では参加者の名前をお願いします。参加者名は、フルネームでなくても大丈夫です。」

受付嬢に参加者名を聞かれた夏風は自分で3人分言おうとしたが、後ろからシエルとリゼの声が聞こえてくる。
  シエル「私はシエル=アンディスグラウって名前だけど、長いからシエルでいいよ。」
   リゼ「ウチはリゼにゃ〜(^ ^)」
   夏風「は、早いねぇ(^ ^;;じゃあ最後にあたいは風斬夏風ってんだ。これで3人だね。」
  受付嬢「シエルさんにリゼさんに風斬夏風さんですね(^ ^)ではあちらでお待ちください。」
参加者登録が終わったので、3人は待合室のような所に移動する。そして中に入ると人が2〜30人位いた。
しかし思ったよりも参加者が少ないと思ったシエルは、その事を夏風に話してみる。
  シエル「ねえねえ夏風、この大会ってそんなに参加者多くないのね。どうしてだろ?」
   夏風「そりゃあこの暑い中だからね、参加したい人は少ないと思うよ。辛いものだしね。」
  シエル「でも賞品は結構豪華そうなんだけどなぁ・・・・・。みんなお金持ちなのかな?」
   リゼ「がんばるにゃ、がんばるにゃ〜(^ ^)」
   夏風「とにかく最終的には自分との戦いだからね。いい修行になるんじゃないかな?」
暑さに耐える我慢大会だからこそ、いい修行になると言う理由で夏風は参加することにしたようだ。
そしてしばらく話をしていると、係員が部屋にやってきた。どうやら大会が始まるらしい。
   係員「お待たせいたしました、これから大会を始めますので、会場に移動願います。」
   夏風「いよいよ始まるようだね、さあ修行の始まりだ(^ ^)」
  シエル「はりきってるわね、夏風。でも、私も負けないよ〜。」
   リゼ「がんばるにゃにゃにゃ(^ ^)」
係員を先頭に、参加者全員が会場に移動し始めた。そしてシエル達も、その列について移動する。
列はゆっくり進んで会場に全員が入場すると、大会委員長らしき小太りのおやじが話し出した。
  大会長「ただいまより、真夏の暑さ我慢大会を開催いたします。
      今年は賞品が豪華ですが、けっして無理をしないようにお願いいたします。」

   係員「はい、大会長ありがとうございます。ではこれから大会を始めます。
      ルールは簡単で、あの室温50度の部屋で最後まで残っていた人が勝ちです。
      しかし10分毎に、こちらが用意しました服を重ね着していただき
      さらに15分毎に熱い料理を食べていただきます。それでは部屋に入ってください。」

大会長の挨拶に続き、係員が大会のルールと進行状況を説明した。そして最後に大会の開始を告げる。
すると選手達は部屋の中に入っていき、シエル達も部屋の中に入るためにドアの前に行き、静かにドアを開ける。
  シエル「うわっ(^ ^;;凄い熱気ね〜。でも入らないことには始まらないし・・・・・。」
   夏風「早く入っておくれよ、シエル殿。早くしないと失格になってしまうぞ。」
  シエル「あっと、そうだったわね(^ ^;;よし、頑張りますか。」
3人は部屋の中に入ると空いてる場所を見つけ、夏風が真ん中で右にシエル、左にリゼと言う感じで座った。
するとシエルは早くも汗が出てきたが、夏風は普段と変わらない状態なのでシエルは驚いた。
  シエル「何で汗かかないでいられるの?(^ ^;;私はもう出てきたのに・・・・・。」
   夏風「精神を集中させていれば、今の状況なら汗はかかないよ。そう言う修行もしたし。」
  シエル「ふ〜ん、やっぱ忍者って凄いね。でも私も持久力なら負けないよ〜。」
   夏風「これからは話すのも控えめにした方がいいから、しばらく話すのは無しにするよ。」
そう言うと夏風は精神集中度を上げたようである。しかし目は閉じていないので、周りの状況は分かる。
するとシエルもそれ以上話しかけるのを止め、よけいな動きをせずにジッとしていることにした。

〜それから約10分後〜

   係員「それではこれから最初の重ね着用の服を配ります。そしたらすぐに着てください。
      1分を越えた時点で着おわってない場合は、失格となります。」

係員の説明のあと、さらに5人の係員が部屋に入ってきて、参加者に服を配る。そして配り終えると部屋を出た。
  シエル「まずは第1段階ってところね・・・・・。うっ、ちょっと暑さが増したみたい(^ ^;;」
1枚服を着たシエルは暑さが増したことで、汗の量が少し増えた。そして夏風もうっすらと汗をかき始める。
  シエル「さすがに夏風も暑いみたいね。でも、この状況で脱落者はまだいない・・・・・ね。」
   夏風「次の料理が問題だと思うよ。それで脱落者がでてくるんじゃないかな?」
  シエル「料理かぁ・・・・・。おいしい物だとイイナァ〜。」
服の次は料理がでてくることを夏風が言うと、シエルはお腹が空いたようでお腹をおさえていた。
それを見た夏風は、暑さよりも食欲の方が勝つものなのかと、シエルを見て不思議に思った。
   夏風「(^ ^;;この暑さの中でも、食欲は相変わらずみたいだね。」
   リゼ「暑いにゃ暑いにゃ〜(^ ^;;でもしゅぎょうにゃ〜。」
  シエル「早く料理が来ないかな?・・・・・あっ、おいしい匂いがしてきた。だしの匂いがする。」
話をしている最中に、シエルは食べ物の匂いを感じたようだ。そのため夏風も、辺りの匂いをかいでみる。
   夏風「そんな匂いはしないけどね・・・・・(^ ^;;リゼは何か感じるかい?」
   リゼ「うにゃ?ウチもなにも匂わないにゃ。」
  シエル「あれ?感じない?だんだん匂いが強くなってくるから、もうじき来るよ。」
   夏風「本当かなぁ?・・・・・むっ?ドアの向こうに人の気配を感じる。それも数人のだね。」
自分やリゼも匂いを感じないので、シエルの言ってることは本当なのだろうかと夏風は思ったが
ドアの向こう側に数人の人の気配を感じたので、シエルの言ってることは本当だと思った。
そして静かにドアが開くと、係員6人がワゴンを押しながら入ってきて、5人の係員が手際よく土鍋を運ぶ。
   係員「お待たせいたしました。次はあっつい料理を食べていただきます。
      最初の料理は、鍋焼きうどんとなってます。次の料理が出てくるまでに
      食べ終えなければその時点で失格になりますので、注意してください。」

話し終えるとほぼ同時に他の係員達が土鍋を運び終え、素早く部屋を出ていった。
そして参加者達は、蓋を開けてゆっくりと鍋焼きうどんを食べ始めるが、ただ1人雰囲気が違う者がいた。
  シエル「確かに熱そうだけど、おいしそうだなぁ〜(^ ^)いっただっきまぁ〜す♪」
   夏風「す、凄すぎる・・・・・。何でこんなに熱いのをあんな早く食べられるんだ?」
   リゼ「うにゃにゃ(^ ^;;あついあついにゃ〜。さめにゃいとたべられないにゃ〜(;_;)」
  シエル「ふぅ・・・・・ごちそうさまっと(^ ^)まだ食べたりないけど、次まで我慢ね。」
リゼは熱くてなかなか食べられないのに対し、シエルは1分も経たない内に食べ終えた。
そのため他の参加者達は全員驚いたようである。もちろん外で見ている観客達も驚いているようだ。
普通に考えれば暑い部屋で熱いものを早く食べるのは、いっそう体を熱くして危険な状態になってしまう。
しかしシエルはアッという間に食べ終えたあと、先ほどと変わらない表情をしていたのである。
   夏風「シエル殿、熱いものをあんなに早く食べたのに、何故汗の量が変わらないんだ?」
  シエル「ん?言われてみればどうしてだろうね?やっぱり一気に食べちゃうからかな?」
   夏風「そうか?普通に考えれば、そっちの方が熱くなるような気もするけど。」
  シエル「まあ、気にしない気にしない。でも、次の料理が楽しみだなぁ・・・・・。」
結局何故そんなに熱くならないのか分からないままだったが、夏風はそれ以上聞かずに鍋焼きうどんを食べる。
しかしリゼはフーフーしながらも部屋が暑いので、なかなか冷めずに食べるのに苦労していた。
そして数分後に食べ終わる者も出始め、夏風も食べ終わった。しかし参加者の中には食べきれない者もいる。
   夏風「ふぅ、やっと食べ終わったよ。しかしさすがに暑くなってきたねぇ。」
   リゼ「まだ冷めないにゃ〜(^ ^;;食べるのたいへんにゃ。でもがんばるにゃ。」
   夏風「次の料理まで時間があるから、ゆっくり食べな。じゃないと舌が火傷しちゃうぞ。」
  シエル「そうそう、まだ10分以上あるからね。でもそろそろ服を着る時間だよ。」
まだほとんど食べていないリゼを、夏風とシエルが励ます。しかしシエルが話し終わったあと、ドアが開いた。
するとその音に気付いたシエルと夏風はドアの方を見たが、係員が入ってきたのでは無く
暑さに耐えきれずにギブアップする参加者が、数人出ていく所であった。しかしそのあと係員が入ってくる。
   係員「今の時点で、7名がギブアップしました。では次の重ね着を配りますので
      今回も1分以内に着てください。それを越えると失格になります。
      また、次は重ね着と料理を同時に配りますので、注意してください。
      それまでに料理を食べていなくても失格になります。では頑張ってください。」

  シエル「なるほど、これで7人が消えた訳ね。でもまだたくさんいるなぁ・・・・・。」
   夏風「しかしこれから脱落者が増えてくるだろうね。熱い物を食べたあとの2枚目は
      結構負担率が高いからね(^ ^;;さすがのあたいも汗が止まらなくなってきたよ。」

  シエル「ホントだ(^ ^;;さて、私も着ちゃおっと。・・・・・うっ、これは確かに暑いわね。」
夏風に続いてシエルも2枚目の服を着ると、先ほど以上に汗の量が増えた。そしてリゼも服を着る。
だが参加者の中には着る前にギブアップする者や、着れずにタイムアップで失格になる者も出てきた。
  シエル「2枚目の服で、脱落者がさらに増えたね。1/3位は減ったかな?」
   夏風「この辺りが、最初の山だろう。だが次の方が問題かもしれないね。」
  シエル「えっ?何で?次は服と料理の両方だけど・・・・・。」
最初の山のことは分かったが、何故次の方が問題なのか分からないシエルは、夏風にその事を聞いてみる。
すると夏風は服で額の汗を拭ったあと、リゼの様子を見てからその理由を説明し始める。
   夏風「料理を食べるのにはある程度余裕があるが、服はすぐ着ないと駄目だよね。
      本当は逆の方が体力温存しやすいんだけど、時間制限がそれを許さない。
      だから汗をかく量が倍以上になっても、服を先に着ないと駄目だから、問題って事。」

  シエル「なるほどね・・・・・。でも私だったら料理次第かな?熱いだけなら大丈夫だよ。」
   夏風「それが出来るのは、シエル殿だけだよ(^ ^;;でも何か駄目なのがあるのかい?」
夏風は呆れた表情でシエルの話に返事をしたが、何か駄目なものあるのか疑問に思い、それを聞いた。
するとシエルも服で額の汗を拭ったあと、少し照れた表情になって話し始める。
  シエル「辛い味付けの料理は、さすがに1分以内じゃ食べられないからね(^ ^;;」
   夏風「なるほどね・・・・・。しかし辛いのがでてくると結構大変だね。
      口の中がひりひりしていても、水を飲むことが出来ないし・・・・・。」

  シエル「そうなのよね〜(^ ^;;そこが問題なのよね。」
   リゼ「ふにゃ〜、やっと食べ終わったにゃ〜(^ ^;;」
2人で今後について話し合っていると、やっと鍋焼きうどんを食べ終わったリゼが話の輪に入ってきた。
すると夏風がリゼの頭を数回撫でたので、リゼは嬉しくなってゴロゴロと甘えていた。

そして数分後、11人の係員が中に入ってきた

   係員「今回は重ね着と料理を同時に配りますが、優先順位は服の方なのでお間違えなく。
      そしてこの時点で前の料理を完食していない方は、失格となります。
      最後に今回の料理は5辛のカレーライスです。では頑張ってください。」

係員の説明が終わるとほぼ同時に、服と料理が配り終えた。そして係員が動けなくなった参加者を抱え
ドアを開けると1人ずつゆっくり出ていった。そのため室温が5度下がる。
しかしゆっくりやっていては動けない人の命に関わるため、そんなことは言ってられないのだろう。
そして全員を運び終わると、急いでドアが閉められた。すると室温がぐんぐん上がる。
  シエル「いったん室温が下がってからの、温度上昇はきついわね(^ ^;;
      あっ、さっきよりも温度が上がってる(^ ^;;55度になってるよ、室温。」

   夏風「楽のあとの苦って言う感じだねぇ(^ ^;;さすがにあたいもきついよ。」
   リゼ「ウチもキツイにゃ〜(^ ^;;そろそろダメかもしれないにゃ・・・・・。」
3人は温度の上昇でだいぶきつくなってきたが、特にリゼがギブアップ寸前のところまできていた。
  シエル「ねえ夏風、リゼちゃん大丈夫?元気がなくなってきてるような気がするけど。」
   夏風「うむ・・・・・そろそろ限界かもしれないね。このあとも頑張っておくれ。」
  シエル「えっ・・・・・?どうしたの夏風・・・・・。」
何を頑張ればいいのか分からなかったシエルは、その事を夏風に聞こうとしたが
夏風はリゼを抱きかかえると、ドアの方に向かって歩き始めたのである。それを見たシエルはなるほどと思った。
  シエル「リゼちゃんは夏風がいれば、限界を超えても暑さに耐えようとする。
      だから夏風がリゼちゃんを連れてけば、素直に従うと思ったのね。」

夏風の言葉の意味を理解したシエルは、夏風とリゼの分も頑張ろうと気合いを入れた。
一方ドアを開けて外に出た夏風は、急いでリゼの服を脱がせると側にあった水のボトルを取った。
   夏風「さあリゼ、水を飲んで楽になりな・・・・・。あの暑さの中、よく頑張ったね。」
   リゼ「う・・・・にゃ?どう・・・・なってる・・・・にゃ?」
   夏風「今はなにも考えずに、水を飲んで休むんだ。あとはシエル殿が頑張ってくれる。」
   リゼ「にゃ・・・・・分かったにゃ・・・・。」
水のボトルを受け取ったリゼは、ゆっくりと水を飲み始めた。すると徐々に表情が安らいでくる。
そしてそれを確認した夏風は、重ね着した服を脱いで一息ついたあと、水のボトルを取って飲み始めた。
エスティア「だ、大丈夫ですか?夏風さん、リゼさん(^ ^;;」
   夏風「ああ、エスティア殿・・・・・。それにティレス殿も。悪かったね、エスティア殿。」
エスティア「・・・・・?何がでしょうか?夏風さん。でも夏風さんは元気そうですね(^ ^)」
いきなり悪かったねと夏風に言われ、エスティアは何が悪いのかサッパリ分からず、キョトンとしている。
しかし表情と口調から、夏風は大丈夫だとエスティアは思ったようで、笑顔に変わっていた。
   夏風「あたいはまだ大丈夫だったんだけど、リゼが危なそうだったからね。
      だからリゼを抱えて、あたいも出てきたんだ。商品券はシエル殿に期待して(^ ^;;」

エスティア「そうでしたか・・・・・。でもそれは謝ることではないですよ、夏風さん。」
 ティレス「そうですよ、人命は一番大事ですからね。りぜちゃんは体力が凄く消耗してましたが
      回復の魔法をこっそりかけておいたから、もう大丈夫です(^ ^)」

ティレスの言葉で、夏風はリゼのことを見た。すると確かにリゼの表情ば穏やかで、スヤスヤと眠っていた。
   夏風「ありがとう、ティレス殿。でもあたいがもっと早く気付いてれば・・・・・。」
 ティレス「夏風さん、そこは悔やむところではないですよ。リゼちゃんは自らの意志で
      あの部屋の中であなたと一緒にいたのですから。あとはゆっくりしてなさい。」

   夏風「はい・・・・・。(な、なんだ?この母親と話している感じは・・・・・。)」
エスティア「シエルさんは、まだ頑張っているようですね(^ ^;;心配です・・・・・。」
夏風はティレスに言われたとおり、リゼの側に横になって全身の力を抜いてゆったりしている。
 ティレス「シエルさんは、結構暑さに強いのね。あの表情ならまだ大丈夫ですよ。」
エスティア「このまま無事に終わればいいのですが・・・・・。心配です。」
 ティレス「エスティアちゃんが落ち込んでると、シエルさんまで元気なくなってしまいますよ。
      ですから元気に応援しましょう(^ ^)シエルさん、頑張って〜(^ ^)」

エスティア「・・・・・そうですね。元気に応援しましょう(^ ^)シエルさん、頑張ってください。」
エスティアとティレスが元気に応援すると、その声が聞こえたのかシエルはにこっと微笑んだ。
するとそれを見たエスティアも、何だか嬉しくなって笑顔でシエルのことを見続けていた。

そして数分後、再び着衣タイムがやってきた

   係員「前回のでだいぶ参加者も減ってきました。今回は再び着衣です。
      1分以内に着れなかった場合は、即座に失格となりますので注意してください。」

参加者がだいぶ減ってきたので、係員は素早く重ね着用の服を配ると、急いで部屋を出ていった。
しかし重ね着する事が出来ない参加者は、服を持って出口に向かっていた。
  シエル「ま、まだ結構いるわね・・・・・(^ ^;;そろそろ着るのもきつくなってきたなぁ。」
シエルは素早く服を着て、体力を温存するためにその場で座ってジッとしていた。
だが服を着た参加者の中にも、暑さに耐えられずに部屋を出ていく者が出始めた。
  シエル「やっと10人きったわね・・・・・。しかしこれからが本番かな?(^ ^;;」
そうこうしている内に服が配られてから5分経ち、係員が料理を持って部屋に入ってきた。
   係員「いよいよ残るは9人となりました。皆さん頑張ってください。
      では今回は料理を配ります。今度は量が多いので頑張ってください。」

そう言って配られたのは、5人前はある鍋物であった。中身は野菜がたっぷり入っている。
 ネッツァ「今までずっと1人前だったが、今回は随分量が多いな(^ ^;;ここが正念場なのか?」
  ニグフ「こんなの15分で食べられるのか?普通の状態でもキツいってのに。」
鍋の大きさと中身の多さを見た瞬間に、参加者4人がうんざりした表情で部屋を出ていった。
そして残った参加者も量の多さに驚いていたが、1人だけ笑顔でパクパク食べている者がいた。
  シエル「辛くないから、いつものペースで食べられる〜(^ ^)う〜ん、この鍋おいしい(^ ^)」
 ネッツァ「な、何て速さで食べてるんだ(^ ^;;しかしそうとなっては負けてられないな。」
  ポロト「お、おいどんでも、あないな速さでは食べられないでごんす。」
  シエル「もぐもぐ(^ ^)・・・・・ん?私がどうかしたのかな?」
シエルの食欲に他の参加者4人は驚いていたが、シエルはマイペースで鍋を食べている。
そして約5分が経過した時点で、シエルは3/4を食べていた。そのため他の参加者やギャラリーが驚いている。
 ティレス「このまま行けば、シエルさんが優勝しそうですね、エスティアちゃん(^ ^)」
エスティア「はい・・・・・、。でも、早く終わってほしいです。シエルさん元気がありませんし。」
 ティレス「十分元気そうに見えるけど・・・・・違うんですか?」
笑顔で鍋の中身を食べているシエルを見て、元気がないと言うのが信じられないティレスだったが
エスティアには分かるのかもしれないと思い、一応違うのかどうかだけ聞いてみた。
エスティア「少し表情に疲れが見みえます。それに食べるのも普段より少し遅いです。」
 ティレス「なるほど・・・・・。でもそれは当人には分かってないのね。」
エスティア「あの暑さですから・・・・・。ですので早く終わって欲しいのです。」
しかしエスティアの心配をよそに、シエルは鍋の中身を全て食べた。するとドアから係員が入ってくる。
   係員「も、もう食べ尽くしてしまったんですか?シエルさん(^ ^;;早いですね。
      続いて重ね着用の服を気張りますが・・・・・。あっ、グルニンデさんギブアップです。」

5人の中で唯一料理に手をつけられないでいたグルニンデが、服を見た瞬間立ち上がってドアの方に向かった。
さすがにもう体力と気力の限界なのだろう。足取りも重く、足を引きずるように歩いている。
   係員「さあ、残るは4人となりました。では素早く服を着てくださいね。」
  シエル「そろそろ服が、きつくなってきたんですけど(^ ^;;も少し大きいの無いんですか?」
係員の言葉で残りの参加者4人は服を着たが、服の大きさに余裕がないため着るのも一苦労のようだ。
そのためシエルは、その事を係員に告げた。すると係員は参加者の様子を見たあと、納得したようである。
   係員「その様ですね(^ ^;;でも次回は問題ないですよ・・・・・。」
  シエル「・・・・・?何で問題ないのかな?」
   係員「それは次のお楽しみです。では次は服と料理の同時になりますので・・・・・。」
何で問題ないのかシエルは分からなかったものの、係員はそれ以上何も言わず部屋を出ていった。
そのためシエルは次の服と料理が来るまで静かに待つことにし、他の3人はとにかく鍋料理を食べている。

そして約10分後、ドアが開いて係員が料理を持って入ってくる。

   係員「はい、お待たせしました。今回の料理は辛々麺です。そして重ね着は・・・・・。
      今回は今まで着た服を全て脱いでもらいます。これも1分以内でやってください。
      ・・・・・と、その前にニグフさんは完食出来なかったため失格です。」

鍋料理を食べきれずに1人失格となり、残りは3人となったが服を脱ぐと言うことに3人とも唖然としていた。
しかしそのままでは失格となってしまうため、3人とも服を脱ぎ始めた。そして3人とも服を脱ぎ終わる。
  シエル「うわぁ〜(^ ^;;これってさっきよりキツイよ〜。」
 ネッツァ「も、もう・・・・・限界だ(^ ^;;ギブアップするぜ。」
直接肌で暑さを感じるようになったため、環境の違いについていけなかったネッツァはギブアップした
そして残るはシエルとポロトの2人となり、辛々麺を食べ始めたがシエルは苦痛の表情になる。
  シエル「な、何この辛さ〜(^ ^;;スープだけじゃなくて、麺自体も辛いよ〜。」
  ポロト「か、辛すぎでごんす。おいどんもう駄目でごんす〜。」
相当辛い麺らしく、ポロトは一口食べただけでギブアップしてしまった。
そのためこの時点でシエルの優勝が決まり、観客の拍手の音がだんだん音が大きくなってきた。
   係員「真夏の暑さ我慢大会の優勝者は、シエルさんに決定いたしました〜。」
  シエル「ふぅ、やっとこさあの暑さから解放されるんだね。」
   係員「それではこちらが賞品の、商品券1G分です。それから副賞としまして
      この町特産の甘味料ビショッポーを100mlビン2本お送りいたします。」

そう言うと係員は商品券の入った豪華な封筒と、ビショッポーの入ったビン2本をシエルに差し出した。
そしてシエルはそれを受け取り、お辞儀をしたあとエスティア達が待っている場所に向かって歩き始めた。



残暑見舞いに続きま〜す(^ ^;;
2000年07月17日完成(^ ^;;

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